仏教と神道の違い・前編
神社仏閣(じんじゃぶっかく)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
神社とお寺(仏閣)を総称して呼ぶ際に用いる言葉です。
どちらもお参りをするところですが、神社とお寺では、役割も、祭祀対象も異なります。
中には鳥居のあるところが神社で、仏像のあるところがお寺だという
見分け方をしている方もいるかもしれませんが、
実はお寺に建つ鳥居も存在しています。
これは神仏習合(しんぶつしゅうごう・神道と仏教が融合し、
1つの信仰体系として再構築された宗教現象)の名残りで、
明治時代に神仏分離政策(しんぶつぶんりせいさく・
神道と仏教との区別を明確にしようとする政策)がとられるまで、
神や仏は分け隔てなく信仰されていたことが起因します。
異なる宗教の祭祀対象が同じものとして祀られることは、
世界的に珍しいこととされていました。
では、実際に仏教と神道の違いは何でしょうか。
前・後編に分けてご案内していきたいと思います。
今回はその前編です。
神道・仏教とは
神道(しんとう)は古代日本に根付いた宗教であり、
別名を惟神道(かんながらのみち)といいます。
教典や教えがあるわけではなく、創唱者や開祖が存在しません。
万物に神が宿るとという考えを持ち、
八百万の神(やおろずのかみ・800万という数ではなく、数が多いことのたとえ)
を信仰する多神教です。
自然や物、偉人など様々なものが神として祀られています。
仏教はインドを発祥とし、中国に伝わると多くの宗派が成立しました。
それから朝鮮半島を経て日本に伝えられます。
日本に伝わってからは、
伝統的な仏教である十三宗(華厳宗・法相宗・律宗・天台宗・真言宗・
浄土宗・臨済宗・曹洞宗・浄土真宗・日蓮宗・時宗・融通念仏宗・黄檗宗)をはじめ、
いくつもの宗派が生まれました。
各宗派で本尊や教義に違いこそありますが、
お釈迦様(仏陀)の教えに従い、修行を重ね、悟りを開くことを目的としていることは同じです。
信仰対象
神道では八百万の神を信仰対象としています。
日本では古くから太陽や水、雷などさまざまなものに神が宿ると考えられてきました。
畏れ、神として祀ることで、日本人は自然と長い間、付き合い続けてきたのです。
仏教には本来、信仰対象はありません。
修行によって悟りを開き、解脱(げだつ・意味は後述にて)することを目的としているからです。
しかし日本に伝わってきた仏教のほとんどは仏陀(釈迦如来)や、
菩薩を信仰する大乗仏教(だいじょうぶっきょう・自分ひとりの悟りのためではなく、
多くの人々を理想世界である彼岸に運ぶ大きなすぐれた乗物という意味)です。
悟りへの道は大変厳しく、誰にでも行えるものではないことから、
衆生救済(衆生=しゅうじょう・生きているものすべて)を願うものとして日本に伝わりました。
目的
神道では神を祀り、正直な精神でいることで神の加護を受けられると信じられています。
人々は神の加護により幸せな日々を送ることができるという考え方です。
ただし、神には荒魂(あらみたま)としての側面もあり、
天変地異や疫病、災害として畏れられてきました。
人々は荒魂を鎮めるためにも神を祀ります。
ありとあらゆるものを神とする日本人ですが、
その背景には恵みを得るという目的や天災を鎮めるという目的があるのです。
仏教では仏陀の教えに従い、悟りを開くための修行を積みます。
その目的は解脱することとされています。
解脱とは、六道(りくどう・地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人間道、天道)を離れて
輪廻(命あるものが何度も転生し、
人だけでなく動物なども含めた生類として生まれ変わること)の輪から
外れた状態を指します。
生きていることを苦しみとする仏教では、
輪廻転生の輪から抜け出して極楽浄土へ行くための方法として解脱を目指しているのです。
用語
神道では、亡くなることを帰幽(きゆう)といいます。
亡くなった人の御霊(みたま)は、
幽世(かくりよ・永久に変わらない神域)に帰るという考えです。
お悔み言葉としては「御霊のご平安をお祈りします」などがあげられます。
成仏、往生は仏教用語です。
神道では仏にはならず、往生は、大乗仏教の中の成仏の方法論のひとつであるからです。
また仏教では、お悔み言葉として「ご冥福をお祈りします」と言います。
亡くなった人が冥土(めいど・あの世のこと)に向かうというのは仏教の考えであるため、
他の宗教では使いません。
供養、香典なども仏教用語です。
後編では神道と仏教のお参りの仕方の違いなどについてご案内させていただきます。
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